増え続けるCO2をどう減らす!?
迫る京都議定書の約束期間
(2007年7月10日 新建ハウジング)
超長期利用を基本に
温暖化防止が待ったなしの状況になっている。今年は、京都議定書の約束期間2008年〜2012年の開始前年だが、CO2などの温室効果ガスの削減はなかなか進まない。先日公表された統計によれば、05年度で基準年(90年)比7.8%増加している状況だ。こうしたことから現在、国では京都議定書の目標達成計画の大幅な見直しを進めている。なかでも家庭部門は、増加傾向が著しく、さらなる省エネに向け、取り組みが強化されそうだ。
次世代省エネ基準の普及が生活変化に追いつかない

現在の国の省エネ施策は、05年度に閣議決定された京都議定書目標達成計画にもとづいて実施されている。部分的には進展している項目もあるが、全体的な目標達成はかなり難しい状況だ。
実際、目標達成には05年度比で13.8%のCO2削減が必要となる。森林吸収分の3.8%と京都メカニズム(排出量取引など)分1.6%を確保できたとしても、実質的に8.4%削減しなければならない。
部門別の削減割合は05年度比で、産業部門(総排出量に占める割合:38%)4.5%、業務その他部門(同13%)30.6%、家庭部門(同10%)21.4%、運輸部門(同17%)2.7%、エネルギー転換部門12.1%(同5%)など、それぞれ大幅な削減が必要。現在、官民あげて目標達成計画の見直しを進めているのはこのためだ。
予測上回る増加
なかでも、住宅業界に関係のある家庭部門のCO2排出量の増加はほかの分野に比べ深刻だ。
基準年(90年)と比べ05年度で36.7%の増加、04年度と比較しても4.0%の増加となっている。現行の計画は基準年比7%程度の増加を想定しているものの、それを大幅に上回るペースで増加している。
削減に向けた現行の対策のメーンは、新築住宅の次世代省エネ基準の適合率を08年度までに50%に引き上げること。実際推計値では07年度が44%、08年度で51%と、「目標」は達成される見込みだ。
が、それだけでは、世帯数の伸びや新しい家電の普及による電気使用の増加、ライフスタイルの変化などで増えてしまったCO2排出量を吸収しきれない。そのため、新たな視点での省エネ促進が重要な施策テーマとして浮上してきている。
「目標計画」見直しで対策追加
省エネにインセンティブ
具体的な施策の一つが省エネ改修の促進だ。
新築の省エネ性能向上に比べ、既存住宅・建築物での省エネ改修はコスト負担が大きくなかなか進まない。この現状を打開するため国は、省エネ改修工事費の一部を税控除したりすることで消費者にインセンティブを与える方向だ。
新築の省エネ住宅取得に対しても、固定資産税を軽減するといった措置などを検討している。省エネ性能の評価手法を使った流通促進のしくみ構築にも乗り出す。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)による、住宅性能表示制度を活用した「フラット35S」の拡充のほか、現在川崎市が金融機関と協力して実施しているCASBEEを使ったマンション取得に対する金利優遇制度などのように、環境配慮にインセンティブを結びつける動きが加速しそうだ。
消費者から配慮望む声
さまざまな意識調査で、環境に配慮した住宅を希望する消費者の声が高くなっているという結果が出ている。環境はマーケットトレンドのひとつになりつつある。
だが、どうすれば環境負荷の低い住宅になるのか、消費者はなかなか知ることができない。国などが主導し、さまざまなラベリング制度などの普及促進を図っているのにはそうした理由がある。
つくり手にとっては、アプローチの一つとして、環境を切り口にした提案やプレゼン手法を確立することは、政策上の後押しも期待でき、有効なマーケティング手法となりそうだ。