
施主の幸福が前提に
(日刊木材新聞 平成20年10月21日)

岡山県美作市で開催された日本木青連中四国地区協議会(實田貴史会長)第37回会員大会(10月7日付既報)で、住宅産業にかかわるシンポジウムが開催された。瑕疵担保責任履行法施行が来年に迫り、住宅建築には今後、金融や保証といったサービスの付帯が求められるようになる。住宅建築と資産に詳しいNPO法人住宅生産性研究会の戸谷英世理事長が基調講演を行い、「住まい’S DEPO.」を展開する山一建材(岐阜市)の小牧弘二社長と、住宅ローンマッチングビジネスを始めたヤマネホームアセット(広島市)の山根誠一郎社長の2氏が事例発表。シンポジウムの要旨を報告する。
金融など住宅新ビジネスも住宅の生産性向上を
基調講演 戸谷英世氏
「明るい住宅の未来のために」
日本は戦後復興に住宅建築を利用した。スクラップ&ビルドで住宅を償却資産として扱い、今でもそれが続いている。
日本では住宅を持つことで資産が減る。経済の垣根がなくなり、所得が減少する時代には、家を安く建てることが求められる。
そのために、
1.土地の所有を英国式のリースホールドにして土地代金を下げる
2.できるだけ建物を方形にして外壁を少なくする
3.工期を短くしてコストを抑える
等が必要。
工務店はエンドユーザーが幸せになるビジネスをしないと続かない。米国の住宅建築の生産性は日本の2.5倍と高い。先進地に学ぶべきだ。
金融から住宅まで一括
事例発表1 山一建材 小牧弘二社長
日本の住宅市場は人口減で縮小する。住宅金融公庫の廃止が決まった5年前、金融を核に住宅品質を担保する仕組みを作って流通の立場で金融・保険を含めたワンストップサービスを提供しようと考えた。住宅のクレームを防げるのは工務店。住宅を資産価値でみると、ハウスメーカーは販促費が高い。商品開発力、提案力、金融のノウハウがない工務店を、地域の販売店が支援する。地域の流通と工務店がグループで取り組む住まい’S DEPO.のネットワークでは、与信の基点を施主に置く。流通が住宅の品質等に責任を持ち、業者の支払いまで行うことを考えている。この仕組みはすべて自前で作った。資産価値のある住宅を、保守や検査、コンサルを含めて各地域で提供することで豊かな国づくりに貢献したい。
苦手な金融を支援
事例発表2 ヤマネホームアセット 山根誠一郎社長
モーゲージブローカーのホームローンドクター(東京都)と提携し、住宅ローンのコンサル会社を設立した。工務店顧客の10~20%が住宅ローンの申し込みで断られている。営業が接客やプランニングしながら資金計画まで行うのは難しく、優秀な営業ほどそうした客を放置している。一度住宅ローンを断られた客に利用可能なローンを紹介するのがベストマッチングプロ。3割の確立でローンを付けて復活させている。立ち上げ半年で広島提携工務店が100社になった。月15~20件の相談が持ち込まれ、マンションや建売の在庫を販売するのに重宝がられている。料金は成功報酬で、ローンの実行時に工務店からもらっている。工務店の苦手な金融商品を取り扱えるようにして、今後も新商品の仲介役としても役立ちたい。